【年収の壁が178万円に!】2026年度(令和8年度)税制改正(所得税編)

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個人の所得税に関わる主要な改正について解説

POINT

  • 基礎控除及び給与所得控除の最低保障額の引上げにより、いわゆる「年収160万円の壁(令和6年分までは103万円)」が「年収178万円の壁」に!
  • 配偶者(特別)控除や扶養控除を取るための所得要件も引上げとなったため、影響がある方は要確認!
  • 青色申告特別控除も、一定の要件を満たすと令和9年分からMAX75万円控除に(令和8年分まではMAX65万円)!
物価高を踏まえた、いわゆる「年収の壁」の引上げ

令和8年度税制改正関連法が令和8年3月31日に国会で可決・成立しました。
その中でも特に影響がある、いわゆる「年収の壁」の引上げについて重点的に解説します。

改正内容
①基礎控除の引上げ

物価高への措置として、物価上昇に連動して基礎控除を引き上げる仕組みが創設されました。これにより、給与所得者の所得税が生じる金額(いわゆる所得税の壁)は178万円(令和6年分までは103万円、令和7年分は160万円)となりました(①基礎控除と②給与所得控除を合わせた金額)。
令和10年分以降は、令和8年・令和9年の消費者物価指数の上昇率を踏まえて、令和10年度税制改正により見直される予定です。

改正前後の取扱いは以下の通りとなります(赤字部分が改正箇所)。

【所得税】

合計所得金額
(給与収入の目安)
基礎控除額
改正前改正後
令和6年分令和7年分令和8・9年分
132万円以下
(給与収入200万円以下)
48万円95万円104万円
132万円超~336万円以下
(給与収入200万円~475万円以下)
88万円
336万円超~489万円以下
(給与収入475万円~665万円以下)
68万円
489万円超~655万円以下
(給与収入665万円~850万円以下)
63万円67万円
655万円超~2,350万円以下
(給与収入850万円~2,545万円以下)
58万円62万円
2,350万円超~2,400万円以下
(給与収入2,545万円~2,595万円以下)
48万円
2,400万円超~2,450万円以下
(給与収入2,595万円~2,645万円以下)
32万円
2,450万円超~2,500万円以下
(給与収入2,645万円~2,695万円以下)
16万円
2,500万円超
(給与収入2,695万円超)
0円

【個人住民税】

個人住民税の基礎控除額については、現行の43万円から改正はありません。

②給与所得控除の引上げ

会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、給与収入から控除できる概算経費(給与所得控除)があります。今回の改正では、この給与所得控除が昨今の物価上昇などへの対応のため、最低保障額が引き上げられました。
令和10年分以降は、令和8年・令和9年の消費者物価指数の上昇率を踏まえて、令和10年度税制改正により見直される予定です。

改正前後の取扱いは以下の通りとなります(赤字部分が改正箇所)。

【所得税】

給与所得控除の最低保障額
改正前改正後
令和6年分令和7年分令和8・9年分
55万円65万円74万円

【個人住民税】

個人住民税についても、令和9年度分から給与所得控除最低保障額が74万円に引き上げられます。

③各種控除の所得基準の引上げ

改正前後の取扱いは以下の通りとなります(赤字部分が改正箇所)。

【所得税】

主な各種控除適用要件の内容改正前改正後(令和8・9年分)
適用要件控除額適用要件控除額
配偶者控除夫(妻)の方で配偶者控除を取るための妻(夫)の合計所得要件58万円以下
(給与収入のみの場合、年収123万円以下)
38万円62万円以下
(給与収入のみの場合、年収136万円以下)
38万円
配偶者特別控除夫(妻)の方で配偶者控除を取るための妻(夫)の合計所得要件58万円超~133万円以下
(給与収入のみの場合、年収123万円超~201万円以下)
※38万円控除できるのは、年収160万円以下
38万円~1万円62万円超~133万円以下
(給与収入のみの場合、年収136万円超~207万円以下)
※38万円控除できるのは、年収169万円以下
38万円~1万円
扶養控除親の方で扶養控除を取るための16歳以上の子などの合計所得要件58万円以下
(給与収入のみの場合、年収123万円以下)
38万円~63万円62万円以下
(給与収入のみの場合、年収136万円以下)
38万円~63万円
特定親族特別控除親の方で特定親族特別控除を取るための大学生年代(19歳以上23歳未満)の子の合計所得要件58万円超〜123万円以下
(給与収入のみの場合、年収123万円超~188万円以下)
※63万円控除できるのは、年収150万円以下
63万円~3万円62万円超〜123万円以下
(給与収入のみの場合、年収136万円超~197万円以下)
※63万円控除できるのは、年収159万円以下
63万円~3万円

【個人住民税】

個人住民税についても、上記所得税と同様に一定の改正が行われます(詳細については割愛します)。

④青色申告特別控除の見直し

会計ソフトの普及や電子申告割合の向上を踏まえ、記帳水準の向上を図るとともに、デジタル時代にふさわしい記帳や申告を推進する観点から、青色申告特別控除について見直しが行われました。

改正前後の取扱いは以下の通りとなります(赤字部分が改正箇所)。

条件控除額
改正前
(令和8年分まで)
改正後
(令和9年分以後)
複式簿記(正規の簿記の原則に従って記帳)+電子申告65万円65万円
上記に加え、以下のいずれかの要件を満たす場合
①仕訳帳及び総勘定元帳について、一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っている場合(優良な電子帳簿)
②請求書等データ(電子取引データ)を一定の要件を満たして保存を行う場合(請求書データ等との自動連携)
65万円75万円
複式簿記(正規の簿記の原則に従って記帳)+書面申告55万円10万円
簡易簿記(簡易な簿記の方法に従って記帳)+前々年分の事業所得又は不動産所得に係る収入金額が1,000万円以下10万円10万円
簡易簿記(簡易な簿記の方法に従って記帳)+前々年分の事業所得又は不動産所得に係る収入金額が1,000万円超10万円0万円

※当事務所では、顧問先様が75万円の控除を適用できるよう、適切にサポートいたします。

⑤少額減価償却資産の特例の見直し

中小企業者や個人事業者などが、減価償却資産(少額減価償却資産)を取得した場合に、一定要件のもと取得した年に全額を損金(経費)として計上できる制度で、対象資産や適用対象者に見直しが行われました。

改正前後の取扱いは以下の通りとなります(赤字部分が改正箇所)。

項目改正前(令和8年3月31日までの取得)改正後(令和8年4月1日以後の取得)
対象資産取得価額30万円未満取得価額40万円未満
適用対象者常時使用する従業員数500人以下の中小企業者・個人事業主常時使用する従業員数400人以下の中小企業者・個人事業主
合計限度額年間合計300万円まで年間合計300万円まで
最後に

2026年度(令和8年度)税制改正は、令和7年度税制改正に続いて物価高への措置として、基礎控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げなどが盛り込まれ、大きな影響を及ぼす改正となりました。

パートで働く配偶者やアルバイトの大学生については、上記の税金(所得税)の壁だけでなく、社会保険関係の壁である「年収106万円の壁」や「年収130万円の壁」も意識して働き方を考える必要があります。詳細は以下の記事をご覧下さい。

【知らないと損する】年収の境界線「○○万円の壁」!
https://www.okaniwa-tax.com/income-thresholds/

【103万円の壁が変わる!】2025年度(令和7年度)税制改正(所得税)
https://www.okaniwa-tax.com/zeiseikaisei2025/

  1. 当事務所の顧問先様で、上記の内容でご不明な点等ございましたらお気軽にご連絡下さい!

※記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。法令または公的機関や専門家に相談の上、ご自身の判断の基でご利用下さい。