税理士がよく聞く「会計・税務の勘違い」10選【実務目線で解説】

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多くの方に共通する事例を解説

POINT

  • 勘違いしやすいポイントは、多くの方に共通!
  • ちょっとした勘違いが、税金の負担増につながることも!
  • 気になる点や判断に迷うことがあれば、早めに整理しておくことが大切!
はじめに

お客様からのご相談を受けている中で、「多くの方が同じところで勘違いしている」と感じることがよくあります。

例えば、「“領収書”がないと経費にならない」「赤字なら確定申告は不要」といった考えは、実務では必ずしも正しいとは限りません。

こうした誤解をそのままにしていると、本来不要な税金を支払ってしまったり、思わぬリスクにつながることもあります。

この記事では、税理士として現場でよく耳にする会計・税務の誤解を分かりやすく整理して解説します。

具体的な勘違い事例10選
必ず“領収書”がないと経費にならない

「“領収書”がないと経費にできないですよね?」という質問はよく受けます。
実際には、“領収書”が絶対条件というわけではありません

領収書(支払いが完了したことを証明するために発行され、金額や日付が記載されている)よりも、内容が明確な“レシート”や“請求書(支払いを求めるために発行され、取引の詳細が記載されている)”の方が証明力が高いケースもあります。
取引内容が確認できる資料があれば、必ずしも領収書は不要です。

売上が入金されたタイミングが「売上日」だと思っている

売上は「お金が入ってきた日」で計上するものではなく、“商品を引き渡した日”や、“サービスを提供した日”が売上計上のタイミングになります。
入金日と売上日がズレることは珍しくなく、このズレを無視すると、決算書や申告内容が実態と合わなくなってしまいます。

赤字なら確定申告しなくていい

「利益が出ていないから申告しなくていい」と思われがちですが、個人事業主の場合、赤字でも確定申告をしておくメリットがあります。
申告をしておくことで、損失(赤字)の繰越しができ、翌年以降に発生した利益と相殺ができるため、将来支払う税金が安くなります。

経費を多くすればするほど節税になる

確かに、経費を計上すれば利益は減り、税金も下がりますが、経費を増やすこと=良い節税とは限りません
無理に経費を使うことで手元の資金が減ったり、融資における金融機関からの評価に影響が出ることもあります。

売上に含まれる消費税も手元のお金として使っても大丈夫

売上に含まれる消費税についても、運転資金として使ってしまう方がいます。
しかし、消費税の納税義務者であれば、後から必ず納付する必要のあるお金です。
赤字でも納付が必要なことがあるので注意が必要です。

納税時に資金が足りなくなるケースも少なくありませんので、最初から納税用として分けて管理しておくことが重要です。

▼関連記事:【知っておきたい】消費税の納税義務と計算方法!

消費税の納税義務と計算方法については、次の記事で詳しく解説しています。

【知っておきたい】消費税の納税義務と計算方法! | 岡庭健太税理士事務所|オンライン全国対応|品川区の税理士|個人事業主・ひとり社長の心強い味方

税務署から連絡が来た=何か問題があった

税務署から電話や書類が届くと、「何か問題があったのでは」と不安になる方も多いです。

実際には、内容確認や事務的な問い合わせであることがほとんどです。
税務署からの連絡=悪い知らせ、というわけではありません。

税務署に聞いた内容は「絶対に正しい」

税務署に直接聞いたから安心、と思われがちですが、税務署の回答は一般的な説明にとどまることが多いです。
個別事情まで踏まえた判断ではないケースもあるため、そのまま鵜呑みにして処理を進めるのは注意が必要です。

家事按分は「なんとなく◯割」でOK

自宅兼事務所の家賃や光熱費などを、「だいたい半分くらい」と感覚で按分している方も少なくありません。
しかし、家事按分には面積・使用時間・利用状況など、合理的な根拠が必要です。
根拠が曖昧だと、税務調査時に否認されるリスクがあります。

▼関連記事:【個人事業主必見】事業とプライベート兼用の費用はどう処理する?

家事按分については、次の記事で詳しく解説しています。

【個人事業主必見】事業とプライベート兼用の費用はどう処理する? | 岡庭健太税理士事務所|オンライン全国対応|品川区の税理士|個人事業主・ひとり社長の心強い味方

法人化すれば必ず税金が安くなる

「法人にすれば節税になる」と聞いて、法人化を検討される方も多いです。
確かにメリットはありますが、利益や社会保険、事務負担なども含めて考えると、法人化しない方が有利なケースも多々ありますので、タイミングの見極めが重要です。

▼関連記事:【誤解されがち】「売上が1,000万円を超えたら法人化」は間違い?

法人化については、次の記事で詳しく解説しています。

【誤解されがち】「売上が1,000万円を超えたら法人化」は間違い? | 岡庭健太税理士事務所|オンライン全国対応|品川区の税理士|個人事業主・ひとり社長の心強い味方

⑩申告期限を少し過ぎても大したペナルティはない

「数日くらい遅れても大丈夫だろう」と思われがちですが、申告期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性があります。
個人事業主の場合、期限後申告になると青色申告特別控除が65万円から10万円に減額されてしまいますので、申告期限は非常に重要です。

最後に

今回ご紹介した内容は、実際にお客様からよくお聞きする誤解ばかりです。
いずれも、少し認識が違うだけで、税務上の判断や結果が変わってくるものです。

気になる点や判断に迷うことがあれば、早めに整理しておきましょう。

  1. 当事務所の顧問先様で、上記に関してご不明な点等ございましたらお気軽にご連絡下さい!

※記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。法令または公的機関や専門家に相談の上、ご自身の判断の基でご利用下さい。